続・本を読むご主人様

今日も暑いですね。お盆と言う雰囲気もなく、ただただ雑用に追われているご主人様。さて、ご主人様の読書です。

湊かなえ氏の「ユートピア
都会から理想の住処を求め、田舎に越してきたある女性
都会に憧れつつ、田舎の仏具店でひっそりと暮らす主婦
夫の転勤で仕方なく越してきた主婦
この三人の女性たちがあるボランティアで街おこしを始める。この運動はメディアにも紹介され、まずは注目され、良いスタートを切ったのだが、ある噂が元で善意に満ちた街おこしは崩れ始め・・・

湊かなえさんの小説では『告白』『白ゆき姫殺人事件』を読んだことがあります。面白くてつい読み進めてしまうのですが、何故か読んだ後は実に嫌〜な気分になります。こういうのを「イヤミス」と言うらしいですね。
善い人、悪い人。それだけならいいのですが、良き人に思える人が実は相当な悪い人と言うのが、単純なご主人様にとって嫌〜な気分になるらしい。

この小説でも皆、真面目な善き人に見えるのだが、心の裏は自己顕示欲、嫉妬、羨望の嵐で、人様の為と汗をかきながらボランティア活動をされても、結局、上から目線の人だったりで、そういう意味では人物に共感できない感じでした。

しかし、このような小説が沢山読まれて背景には、今の社会が表面だけの付き合いで腹を割って話すこともなく、情緒に乏しい殺伐とした所謂ネット社会なのでしょう。そういう意味でこれは一つの警告かもしれませんね。
山本周五郎賞受賞作』だそうです。
山本周五郎氏は確か人情時代劇を書いていた人ではなかったかしら?
そう思うと、ちょっとピンときませんね。

然しながら、ミステリーは面白い。ストーリの展開もスピード感もあって。
流石、イヤミスの女王です。是非お読みくださいませ。