続・本を読むご主人様

日産自動車カルロス・ゴーン氏がなんと容疑者になってしまったというニュース。ちょっとビックリですね。
何でも報酬の過少申告だとか・・・大企業でこんなことが起こるとは信じられない。とご主人様。

さあて、本を読むご主人様です。
カズオ・イシグロ氏の『遠い山なみの光
物語は娘の葬式から始まり、母親である主人公は昔のことを思い出す。そして戦後の長崎で出会った女性の記憶を辿っていく。
その女性はアメリカに渡ることが幸せだと確信していた。まだ幼い娘に愛情をも施さず、常識はずれで自分勝手の人であった。反感と嫌悪を持ち合わせながら、どこか魅かれていた部分もあり仲良くなっていった。
そして、あれから長い年月が経ち、今の自分自身がいつか出会ったあの女性に変わらない事に気づく。

戦後の長崎。原爆の事にも触れています。悲しいものも酷なものも書かれていないのだが、読むのが何故か辛く重たくなってしまう。『戦後』という独特な空気やキナ臭さが伝わり、生きずらい時代に生きていかなくてはならない人々の人間臭さも伝わる。

大変興味深い作品で、読んだ後は充実感がありました。
日本の作家で日本語で書かれたものならば、きっと、もっと違った形になっていたかもしれないが、これは、英語で書かれた翻訳本である。なので、翻訳本であるが故の面白さもある本ですね。

流石はノーベル文学賞カズオ・イシグロ氏です。大変、上質な洗練された作品でした。違う作品も読みたいです。
是非是非・・・お読み下さいませ。