寄り添う希望

 実に許しがたい事件が起きました。難病患者への嘱託殺人です。患者は生きることに疲れ、安楽死を望み、依頼をしたそうだ。

 医療現場で昨今、言われることは「尊厳」。患者の意思、思いに寄り添った治療を行うものだ。尊厳死というのもある意味、認められているものだが、実際には安楽死と同様に本人の気持ちや医師の判断だけでは行われないそうだ。判断を間違えれば、殺人ともとれるからだ。今回の事件は許しがたいものの、その反面、患者の複雑な思いに考えさせられてしまった。

 今、一番大切なのは、生きてゆく社会、どんな人にも苦しまず幸せに生きて行ける社会なのだと思う。

 コロナウィルスと共生というのなら、健常者も障害者も難病で苦しむ人も、貧しい人も寄り添える社会が望ましい姿なのだろう。

 水泳の池江選手は来年のオリンピックに向けて語った。

「一年後、オリンピック、パラリンピックが出来る世界になったらどんなに素敵だろう。希望の炎は消えていない」と。

 希望とはなんと美しい言葉なのだろう。希望があれば生きていける。ご主人様はしんみりとそう仰っておりました。