三輪明宏さんのドキュメンタリー

今、最も旬な人がいる。それは三輪明宏さんである。
この9月、ロマンチックコンサートは満員御礼。三輪さんの生涯を描いたお芝居「MIWA」は宮沢りえ主演で行われるし、そして、三輪明宏さんのドキュメンタリーが上映される。まさに三輪サンデーなのだ。
ご主人様は三輪さんの大ファン。それもズーット前からで、本も読んだし、コンサートに芝居、講演も何度か聞きに行った。どれもが素晴らしいものだった。勿論、このドキュメンタリーもしっかり見に行きました。
三輪さんの人生はそれは複雑で大変なものだった。
裕福な家に生まれるものの、戦争が始まり原爆に被爆する。それからどん底の貧乏暮らし、やがて華やかな世界に「美少年」として脚光を浴びるが、同性愛を告白すると、世間から石を投げられる。暫く心と向き合い地道に芸能活動し、やがて、「オーラの泉」でブレイク。昨年の紅白では「ヨイトマケの唄」は拍手喝采。そして今があるのだ。今や人生の相談役。どんなことにもきちんと答えてくださる。それは歌だったり、芝居だったり、必ず、メッセージを残してくれるお方なのだ。
さて、ドキュメンタリーの会場は、平日の昼間にもかかわらず、沢山の方が見に来ておられました。凄い人気ですね。
フィルムの中では今まで、ご自身が感じたこと。そしてそれを復唱するかのように多彩のゲストの方のトークも交えていた。
原爆を見たときはこんな恐ろしいものはないと思ったという。それ以来、怖いものは無くなった。それ位恐ろしいものだと。
知人が同性愛者であることに悩み、自殺した。それを目の当りにした時「これは戦わなくてはいけない」と誓ったそうである。
身体の弱いお母さんが「ヨイトマケ」の仕事に出ていた。いつも倒れそうなその人が子供が見ていると気づき、その瞬間、人が変わったように逞しくヨイトマケをしたそうである。その姿に母親の素晴らしい愛を感じたという。それが「ヨイトマケの唄」のきかっけで、当時の社会を是非残したかったと言う。
そして、煽てられ、持ち上げられては、地面に投げ捨てられてきたご自身の人生から、洋服を脱いだ本当の裸の姿を見るようになったと言う。裸の姿とはその人の心なのだ。
どうして、三輪さんが好きなのか?と言えば、おっしゃることが、昔も今も変わらないのである。常に真実を伝えてくれる。そして、その中には、いつも愛があり、人としての優しさが満ち溢れている。ちょっと落ち込んだ時には決まって三輪さんの本を読む。そうすると、「そうよね!私の生き方は間違っていない。満更でもないじゃない。」そんな気になり、安心してしまう。言わば精神安定剤のようなもの。
さて、同性愛「ホモセクシュアリティー」は昔からあり、それは、いろんな本を読めばわかること。日本の場合は江戸時代から、それは「男色」と言う言葉で語られ、あくまでそれは嗜好の問題とされ、さして大きな問題ではなかった。歌舞伎の歴史本を読むと、よくその言葉は出てくるし、それは明治時代まで、続いたそうである。そういう意味では日本は外国よりも人権に関しては進んでいた国だったようですね。
しかし、昭和に入ると、事態は変わってくる、外国との戦争が始まったからだ。戦争に勝つには国民の数が勝負。産めよ増やせよの時代の中で、ホモセクシュアリティカップルでは子供は生まれないのである。となるとそれは国益の損失となる。国の為にならないというのであれば・・それは「非国民」となる。その時代はそんな発想だったのでしょう。政府は、その人権を「如何わしいもの」として、世に広めたそうである。
男と女の間には深くて暗い河があるのだろう。その間には沢山の人がいて、息もできないほど苦しい人もいるのだろうか?
さて、今度は女性。女性の話はもっと複雑なのだ。もしもあなたが女性で、仮に男性に性的暴力を受けたとしたら、そのショックのあまり、男性を汚い獣としか見れなくなり、二度と男性を愛することは出来なくなるだろう。
女優のアンジェリーナ・ジョリーは戦火の中における女性の非道な扱いを国連でも、自身の映画でも取り上げ訴えた。多分、それは本当のことだと思う。女性は何時だって、誰だって、男性にとっては性の対象となってしまうのだ。
女性なら、キレイに着飾り、素敵な女性でいたい。男性からはセクシーなオンナと思われたい。と普通の方は思うけど、それは、安全で幸せな国に生まれ育ったお蔭かもしれない。 
世の中には、たとえ、戦火の中でなくても、女性であることを嫌悪する人もいるだろう。自ら女性でなくなるように、オトコ達からそのような目で見られないように、わざと、太り醜くする人だっている。そんな時、そばに女性がいれば、少なくとも「妊娠」の恐れはなく、それは束の間であっても心の安らぎを覚えることになるのかもしれない。それが、ホモセクシュアリティかどうかは別だけど、以前、何かの講演でそんな話を聞いたことがある。
アイデンティティ」いう言葉がある。その意味は主体性・本性・自分の証明・そして、生きる意味とある。
生まれながら、あるいはいつからか芽生えた自身のアイデンティティ。それが生きる意味ならば、自分に正直に全うしてほしいと思う。人に迷惑をかけることでない限り、自分らしく生きる権利は誰にもあるのだから。
「黒人は嫌い」何故かと聞かれれば「それは黒人だから」と言う答えではあまりにも人間として貧しい。それは「日本人が嫌い。それは日本人だから。」と言われているのと一緒なのだ。
ご主人様は決して感性の貧しい人ではない。それがご主人様のアイデンティティの一つであり、自慢出来る事でもあるのです。
この間、TVで性同一障害のカップルの話を取り上げていたのだけど、二人は凄く幸せそうだった。それでいいのです。思わずエールを送ってしまいました。
何時だったか?友人とちょっと飲みに行って話をした。その内容は「アメリカやイギリスって、やっぱり進んでいるわね。同性愛同士の結婚もそれに伴う権利も認めているのだもの。それを思うと、日本はまだまだ遅れているよね〜〜」と。
三輪さんが50年前に人生をかけて、訴えてきたもの。日本もあと少しで変わるような気がする。やはり、三輪さんは凄い人だな〜。
ドキュメンタリーを見て、幸せな気持ちになりました。少し優しくなれたような気がしましたよ。