続・本を読むご主人様

政治学者、そして、ベストセラー作家の姜尚中さんの小説「心」。
ご主人様はその昔、30年くらい前かな?「朝までテレビ」を目を擦りながら見ていたそうです。それは今の政治や社会や諸々の問題をそれぞれの専門家が討論するのですが、いや〜面白かったですよ。若かりしご主人様はいろんな話を聞き、生きるために知識を身につけたかったのでしょう。その頃から姜尚中氏のファンでもあります。
さて、「心」です。
あらすじは・・・親友の死に直面することで生きる意味を見失った学生と、ある 哀しみを胸に秘めた先生。ふたりの細やかな交流を通して描く喪失と再生の物語。とありますが、素晴らしい本でした。夏目漱石の「こころ」と通じるところがあります。
「どうして生きるのだろう?」「どうして死んでしまうのだろう」
大切な人を失い、悲しみ色に染まると、人はこんな問いかけをするものなのでしょう。何故?と。でも、その答えは誰も教えてくれません。ぽっかり空いた胸は、ただひたすら悲しみと向き合い続けるのです。心の葛藤に悩まされ、引き裂かれるような苦しみを味わい、やがて、人は新しい道を歩き始め、再生へとつながるような気が致します。
実に美しい文体で、きちんとした適切な美しい日本語が散りばめられており、凄いな!と思いました。
まさに上質な小説で、作家と呼ばれる方は沢山の言葉を知り、その意味を充分に理解し、読み手と向き合える方なのですね。

ご主人様はライアンが入院している時に読んだそうです。
日本は地震、台風、自然被害が相次いており、「喪失」と「再生」は身近な事柄だと思いました。