THE 歌舞伎!「吉例 顔見世大歌舞伎」

もう、10日も前であったが、ジャズの先輩、Nさんのお誘いで歌舞伎の鑑賞。11月は歌舞伎の予定はなかったので、すぐさま、「行きまあす〜」。と嬉しく返事をしたご主人様。今回の芝居はまず「熊谷陣屋」。源平の戦の中、平家の若君「平敦盛」を討ち取ったのだが、義経にその首の確認で「首実検」を言い渡される。だかしかし、その首は熊谷直実の子供の首であった。この作品の中では「平敦盛」は「後白河法皇」の孫ということになっていて、いくら敵と言ってもその血筋ゆえ、死なせるわけにはいかなかったのだ。だけど、打ち取った証拠は何としても作らなければならない。国のため、平家のため、我が息子を手放すしかなかったのである。
義経もその経緯を知っており、あえて、「平敦盛」の首だと宣言し、事を得るのであるが、なんとも悲しい話である。
芝居の中では、狂おしいほどの憎しみと焦り、そしてそこには「正義」があるのだ。言葉にできない緊張感が漂っていた。この日は主演の「仁左衛門」さんは休演ということで、代役が「熊谷直実」を演じていて、それはそれは素晴らしい演技でした。だが、誰が演じているのか?分からなくて、一生懸命、探っていた時、Nさんが「松緑さん、凄いわね」と言ったので、「エ!!松緑さんだったの?」とびっくりしたご主人様。何というか、思っていたイメージと違っていたのだ。
それ位、迫力があり、カッコよかった。実にいい顔をしていて、やっぱり役者は顔だよね。なんて思っちゃいました。
だけど、いきなりの代役はさぞかし、大変なことだと思うのに、何でないように演じてしまう。流石!歌舞伎役者なのだ。
以前「海老蔵さん事件」の時に代役で評判になったのは愛之助さん。2度ほど、愛之助さんのお芝居を拝見したが、凄く上手で、しかも美しい!すぐファンになりましたよ。歌舞伎の底力にはただただ脱帽してしまう。
次は「汐汲」藤十郎さんの踊りです。
もはや、若さを伴う美しさは薄れているけれど、要所要所、きちんと極めをつくり、指先まで心を泳がせるあたりは、さすが!人間国宝になられた方は違うな〜なんて思っちゃいました。
そして、最後は「菊五郎さん」待ってました!なのだ。
演目は「四千両小判梅葉」。ひょんなことから、江戸城に忍び込み四千両を盗んだ二人組。結局、お縄にかかりお仕置きを受けることになるのだが、その当時の牢屋の様子やしきたりが面白かった。異色の白波物なのだ。
歌舞伎役者で1番は誰?と聞かれれば「菊五郎さん」と答える。だって、上手いんだもん!滑舌がよくて分かりやすい。声も良く出ていて、愛嬌のあるジョークで上品な笑いを取り、どんな役柄でもこなせる方なのだ。勿論、「人間国宝」。この芝居にはご子息の「菊之助さん」も出ていましたが、菊之助さんの女形は素晴らしいです。お嬢様では可憐に、悪女では妖艶に演じて、すっぽりハマるのである。そしてなにより美しい。この日は男役でしたが、これもカッコよかった。いい息子さんを持ってお父様はさぞかし幸せだと思ってしまう。歌舞伎を長年みていると役者さんの成長ぶりも拝見できて、これも楽しいことなのだ。
今の勘九郎さんが襲名するあたり(その1年前くらいかな?)からメキメキといい男っぷりになり、吃驚したことがある。
迫力のある圧倒される演技で、声もお父様そっくりで嬉しくなりますね。こちらも親孝行な息子さん。
やっぱり、役者は顔が命。上手い役者は実にいい顔をしているのだ。(実はご主人様も顔が命なのヨ!)
突然、舞い込んだ歌舞伎に感謝です。12月にも歌舞伎行きます。今度は着物で・・・いくゾ。