ご主人様の本便り

 昨日はとある花火大会がありました。近所なので、マンションの隙間からちらちらと見ておりました。綺麗に舞い上がり、そして消えていく花火。あゝ日本の夏だなと思いましたね。なんと、4年ぶりですからね。ご主人様は楽しまれたようですよ。

 さて、ご主人様の本便りです。

「82年生まれ キム・ジオン」チョ・ナムジュ 著

 キム・ジオンとは韓国で一番多い名前だそうです。多くの女性が感じている、女に生まれたことの不条理、男子崇拝の世の中などなど、多くを掲げ、そして、女たちは壊れていく様を描かれています。よくぞ、書いてくれました!とやはり多くの女たちは絶賛するのでしょう。かなり売れた本ですね。

「限界から始まる」上野千鶴子 鈴木涼美 著

 お二人の往復書簡で始まる話です。鈴木氏はジャーナリストで元AV女優の経歴があるそうです。

 世代の違うお二人が「女性であること」を問う手紙のやり取りです。女の身体は資本か?負債か?性のあり方、矛盾など、本音を語っています。時代と共に女性の価値も変わっていき、その歴史も知ることができました。まさに目から鱗

 新聞の紹介欄があり、手に取りましたが、今まで、ボーと生きてきたご主人様はかなり考えさせられたそうです。

 いまは女性の本音がズバズバと語ることができ、それは凄いことで、良い時代に変わりつつあるのだと感じました。読んでよかったと思いました。とご主人様は言っておられました。

「彼女のことを知っている」黒川 創 著

 これも新聞の紹介欄にあり、読みたくなった本です。彼女のことを知っている。とは、若い頃のあの時代、青春、恋愛、憧れを覚えている。ということでしょうか。作者はご主人様と同じ世代なので、思わず、その昔を懐かしく思い出したそうです。カトリーヌ・ドヌーブにも触れていて、ご主人様も大好きな女優さんなので、大変、興味深かったと言っておられました。

 さて、知り合いのAさんに推薦された本です。

「いまひとたびの」志水辰夫 著

 死をモチーフにした短編小説ですが、どれもが心温まる小説でした。昨今、小説の中に情緒という風情が失われていくような気もするのですが、この本には人肌の温もりがあり、それが身に染みていくようでした。とご主人様。

 そして、もう一冊。これもAさんの推薦の本です。

「雪沼とその周辺」堀江敏幸 著

 雪沼というのですから、雪が降る街で、決して暮らしやすいところではないのでしょうが、ここで暮らす人々の日々の移ろい、決して忘れることのない深い思いを描いている短編集です。美しく、ノスタルジックで、ときおり、セピア色に映し出されるような小説でした。

 実はご主人様は志水辰夫氏も堀江敏幸氏もまったく存じ上げなかったそうですが、大変、文章が上手な作家さんですね~。(作家ですから当たり前かもしれませんが)

 良き本に巡り合えたと喜んでおりました。ということで、著者の別の小説も読んだようですよ。

「ラストワン」志水辰夫 著

 短編ですが、それぞれの最後のオチが良いですね。星新一ショートショートを思わせるような小説もありました。美味しく食事をした後に最後にピリッと辛みを感じて、思わず水をガブガブと飲むような感じです。

「あとは切手を、一枚貼るだけ」堀江敏幸 小川洋子 著

 お二人が往復書簡風に仕立てた小説です。かつて愛しあって別れた男と女の手紙のやり取りです。男は目が不自由で、女は瞼を閉じています。あるいは瞼を閉じようとしているのかもしれません。大変、不可解で、詩的で幻想的でこの世のものでないお伽話のような話なのですが、とにかくお二人の美しい文体には惚れ惚れしてしまいます。おそらく素晴らしいラブレターなのだと思いますが…

 続いて小川洋子さんです。ご主人様が大好きな作家です。結構、読んでいるようですよ。

「いつも彼らはどこか」小川洋子 著

 死者も生者も分けることなく、あの時のあの動物はどうしているのだろうと思いを馳せている短編集です。人々が忘れていること、小さな生き物の一生とか、彼らの存在を確かめるような、そんな小説でした。

「原稿零枚日記」 緒川洋子 著

 原稿がはかどらない作家。取材を続ける中、次々に不思議な世界に行ってしまうのです。それは現実でもなく、幻でもなく…何ともゾクゾクする小説でした。

 他にもあるのですが、今日はこの辺で。ご主人様は何とか、この暑さに耐えております。厳しい暑さですが、どうぞ、ご自愛くださいませ。