「僕は亀治郎でした」

「僕は亀治郎でした」を読んでいる。これは、この度、「市川猿之助」さんになられた元、亀治郎さんの本である。亀治郎さんの歴史、思い、そして猿之助として亀治郎さんに別れを告げる本でもある。ファンから見たら、きっと楽しい本だし、勿論、猿之助に対し、「ご祝儀」的な思いもあるかもしれない。
さて、この元・亀治郎さん、素敵な役者である。
といっても、メチャメチャのイケメンという訳ではない。どちらかというと、「おっさん」くさい感じ。そして、まるでとろけるような妖艶な美女という訳でもない。どちらかというと、下町の世話女房が似合う感じ。
だけど、はじけるように見せる男っぷりに、「ドキ!」とし、ふと見せる女形の色っぽさに「ゾク!」とするのだ。この「ドキ!ゾク!」というものほど、心に残るものはなく、すでに心に釘付けになり、忘れられなくなる。それは、美しいという言葉をはるかに超越してしまうのだ。そんな魅力がある役者だと思う。今が旬の役者さん。猿之助襲名を立派にやり遂げ、新たな境地に挑む元・亀治郎さんである。人気がないわけないよね〜。
本の中で「カメテツ」というコーナーがあり、元・亀治郎さんの哲学があり、結構楽しめた。彼は、役者として人として、少しでも立派になりたいと、日々、努力をする人であり、自分の姿を素直に見つめることが出来る人である。そして、楽しいことを見つけ、大いに楽しむこともできる遊びの達人でもある。そして、とても文才のある方で、あるコラムを時々読ませていただいたが、実に心に優しい文章で、感心したことがある。
例えば・・「未来をあれこれ考えて心配したり、過去を悔やんでみたり・・・それよりも自分が今、向き合っているその瞬間を全力で生きることが大切ではないでしょうか?今、あなたが幸せなら、過去も未来もそれはきっと光輝くものになるでしょう。だから、どうか、今の瞬間を輝いてください。
そして、一瞬一瞬を大切にしてください。それが本当の意味での美しく生きることになるのではないでしょうか?」と。
元・亀治郎さんはTVでも言っていたが、あの「東日本大震災」以来、考え方が変わったという。それは私たちもそうであるが、何が起こるかわからない状況の中で、できることは「今」を大切にすること。そして、いつ死んでも後悔のないよう、しっかり生きることなのだ。と。
おそらく、毎日、そのような思いで舞台に立っているのでしょう。「今」を大切にしてるから、この瞬間のお客様を大切にしているから、感動させることができるのです。よろしかったら読んでみてくださいね。こんな感じです。