お芝居と北斎!

ソ連に巨大な隕石が落ち、吃驚している。かなりの方が負傷し、相当な被害を被ったというが、大変なことである。それでも、この近くにある核施設を逃れたことは不幸中の幸いと言う事でしょうか?もし、直撃していたら大変なことになってしまう。日本にも隕石が落ちる可能性はあり、過去にも事例はヤマほどあるのだ。他人ごとではないが、宇宙と地球の話になると、こればかりは対処する術がない。宇宙の法則にも、自然が成すことにも、人は勝てないことを痛感した出来事だった。
さて、日曜日だったかな?TVで「カーリング」の試合を見ました。ちょっとした小さなミスが命取り!まるで、スリル満点のゲームのようで、ハラハラドキドキ、見ていて面白かった。数年前までは「カーリング」と言う競技があることすら知らなかったのに、頑張ってくれた選手がいたからこそ、こうして楽しめるのね。
その日には良いニュースもありました。スキー・ジャンプW杯である。「高梨沙羅」さんである。16歳と言う若さで、すでに頂点に立っているのだ。お父様も元選手。お兄さんもジャンパーだという家族そろってスポーツ一家で、幼いことから「オリンピック」を目指していたという。現在、インターナショナルの学校に通い、語学を勉強しているとのことであるが、大変、優秀な方ですね。彼女曰く「海外に行くたびに、言葉の壁で自信を失いたくない。いろんな方とコミュニケーションを取り、常に実力を発揮出来るよう、自分の環境をきちんとしたい」と。素晴らしい!すでに世界を見据え、今、自分がするべきことをちゃんと準備をしていたのである。16歳ですヨ!立派ではありませんか!来年のソチが楽しみになってきた。すでに気持ちはソチへ〜ジャンプしているご主人様なのだ。
そうだ。本題にいかなくちゃ・・・・
先日、ライアンの知人よりお芝居のチケットを頂き、ルンルンと銀座あたりを散策しながら見てきました。
劇団新派松竹新喜劇の競演で「喜劇名作公演」である。
まずは「お種と仙太郎」。これは姑の嫁いびりの話。息子と嫁が仲が良いことに焼きもちを焼き、いびっているのである。その様子を、実の娘の姑に見られてしまうのだ。その姑は、これを何とかしなくては!まがった根性を正気に戻さなくては…とある作戦に出るのだ。それは、意地悪姑と同じことをして分からせ、改心させるというもので、いわば「人のふり見てわがふり直せ」である。作戦は見事、大成功を収めるのですが・・・
会場は大笑いの渦でした。どちらの立場か?は置いといて、お芝居にどこか思い当たることがあるのでしょう。ふと、みると、すでに「嫁と姑」をご経験されてきた方々も沢山いらっしゃったりして・・・「渡る世間には鬼ばかり」と言うドラマが高視聴率だったと聞いているが、何となく、分かるような気がしたご主人様。
次は「大当たり高津の富くじ」。中村梅雀さんが好演されていました。梅雀さん演じるのは、とある老舗の若旦那で、「宵越しの金は持たぬ」とばかりに遊び呆けている放蕩息子である。おまけに人が良いものなので、困った人に手を差し伸べてしまう厄介な男なのだ。富くじを買ってくれ〜〜と頼まれれば買ってしまうのである。
そんなある日、お金は山ほどあると思っていたのが、店は今にも潰れる状況であることを知るのだ。そうなると、希望はその『富くじ』である。どうか当たりますようにと神頼みをする主人公。そして・・・本当に当たるのである。その時の動揺ぶりが可笑しくて・・・・本当に笑っちゃいました。庶民が見たこともない大金を手にすれば、手は震える・腰は砕ける・足は前に行かない・・・大変なことになるのね。いろんな役者が楽しく笑わせてくださいました。結局、主人公を正気に戻させ、お金の大切さを知らせたのは皮肉にも『富くじ』だったと言うオチ!落語みたいで面白かった。流石、名作ですね。
このお芝居の影響ではないけれど、帰りに「宝くじ」買ってしまいました。せめてものご利益を期待して・・・・
最後は「おやじの女」妻と愛人の話で、妻は波乃久里子さん。愛人は水谷八重子さんが演じてました。
親父さんの仕事は歌舞伎の義太夫語り。酒や女道楽は日常のことというお方。その方が亡くなったのである。しばらくして、愛人が「せめて、お線香だけでも」とお願いするのである。渋々、了解するのであるが・・・お酒が入る度に出るワ!出るワ!女二人の恨みに焼きもち、自慢がドロドロとグジュグジュと…最後にはパサパサまで出てしまう。それでも、同じ人を愛した二人である。泣かせる話も沢山ありながら、何故かおんなの気持ちを共感し、仏壇に手を合わせるのある。これは、結構、良い話でした。昭和の優しさや情緒が一杯盛り込まれ、笑いの中の悲しみをさりげなく出していた芝居。これも名作ネ。
もう、笑い過ぎて、顎もくたびれてしまったけど、どうしても行きたい場所があり、出向く。それは「葛飾北斎」である。
「絵」というと、ゴッホピカソルノワール・・・・
どうしても西洋の画家たちが思い出されるのだけど、日本にもいました。偉大なる「絵師」が!北斎である。銀座の「フェルメール・センター銀座」と言う場所で北斎展があると聞き、これはいかなくては!と出かけたのである。
最新のデジタル技術で再現したという北斎の版画の集結なのだ。
北斎と言えば「富嶽三十六景」。何と言っても、その中の「神奈川沖浪裏」が有名な作品。あの波の絵である。まるで襲い掛かるような波のしぶき、生きているような躍動感。切羽詰まった状況の波の隙間に、何と!船をくぐらせている人がいて、そして、真ん中には、富士山が・・その表情がすこぶる程穏やかなのよね。
海を、波をこのように表現した方は北斎だけ。この絵は海外でも評判になり、作曲家のドビッシーはこの絵をヒントに「海」と言う曲を作曲したそうヨ。
作品の中で使われた「藍色」はベロ藍と呼ばれるベルリンの藍色だとか・・・鎖国の時代に何で?いろんな疑問が残るけど、この時代に西洋をきちんと意識していたと思うと、凄い方ですね。
次に有名なのは、やっぱり「赤富士」かしら?「凱風快晴」である。そこには真っ赤に燃える富士山があり、あの赤を何と表現したらよいのか?まるで北斎の命が宿っているような色である。
北斎の絵を見て感じたことは「青」。表現できないくらいの「青」がある。空から始まる「空色」から夜の海の「漆黒」まで、さまざまの「青」があるのだ。薄藍・紺碧・群青色・瑠璃色・瑠璃紺・藍色・紺色・紺青・・・藍色にはベルリンの色を用いたとあるが、北斎の手にかかれば日本の色。数々の和の色を、それぞれの作品に施している。それはみんな違う「青」。それだけでも、この「北斎展」は価値があるように思う。
さて、北斎だけではないが、江戸時代に描かれた「春画」と呼ばれるちょっと恥ずかしい?絵は海外では評価され、人気があったとか・・・あの蛸と交わる絵も確か、北斎だったわね。
北斎の作品を見てると、単に綺麗に描くだけではなく、まるで、人の本質を分かっているかのように、肉体から抉り取るような恐ろしいほどの力強さを感じる。そのエネルギーはどこから来るのか?
北斎は何と、九十歳まで生きた方で、それこそ吃驚!江戸時代ですよ。本当にその元気は何なのか?
そして、引っ越しは九十三回だとか。それは何故なのか?
一説によると、北斎は生活の面ではだらしない方だったそうで、家が散らかり汚れたら、引っ越しを繰り返していたそうな・・・・
どんな理由にせよ、「美」に対して前向きに取り組み、一生を芸術に捧げてきたのだ。北斎は、西洋の印象派の芸術家にかなりの影響を与えていたそうである。
そういえば、1998年のライフ誌が「この1,000年間で最も重要な業績を 残した世界の人物100人」について、アンケートを取ったところ、日本では北斎のみ、名が上がったとか・・・へぇ〜世界の100人だったのね。
ちなみに1位はエジソンで、北斎は86位。ヘレン・ケラーは85位だそうです。
世界の100人の一人に逢いに行くのもいいですね。わずが60分の江戸時代への小旅行。戻ってきたときには、それは、大きな財産になり、心優しい自分に逢えるかもしれません。お時間がありましたら、どうぞ、お出かけください。
フェルメール・センター銀座」で3月までやっているそうですよ!