ご主人様の本便り

 作家の伊集院静氏の訃報がありました。悲しいです。凄くカッコよくて、男が惚れる男というイメージがあります。文学界を引っ張ってくださる方と思っていたのに、残念でなりません。あまり小説を読んでおりませんが、大人の流儀シリーズはいくつか読みました。そこには静かでありながら情け深くかっこいい大人が出ており、そういう人になりたいとも思いました。本当に残念でなりません。ご主人様はそのように仰っておりました。

 さて、ご主人様の本便りです。少しだけご紹介いたしますね。

 心淋し川 西条奈加 著

 下流にある心淋し川。世の理不尽、不条理、悲しみ、悔しさ、そういうものが流れてくる川である、しかし、そこに住む人々は貧しいながらも、逞しく情け深いのです。悲しい話が多いのですが、最後にはほっこりとする小説で、読んで愉しいものでした。これぞ、小説だ!とも。

 ハンチ・バック 市川沙央 著

 今年の芥川賞の小説です。いやー、強烈でした。強いパンチを食らった、そういう本でした。障害を持ちながら生きていくことはどういうことなのか?はっきりと知らしめてくれています。そして、健常者とは何なのかということも。普通に本を読める幸せを改めて感じ、健常者である自分は誠にだらしないとも感じました。とご主人様は言っておられました。文藝春秋で読みました。

 闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由 ジェーン・スー

 芸能界、美容家、ファッション、脚本家、漫画家、それぞれの分野で活躍する女性のインタビューです。それらは苦労話でもなく、サクセスストーリーでもありません、ただ淡々とあきらめず生きてきた女性のお話です。

 ジェーン、スー氏はラジオのパーソナリティーやエッセイや小説も書いている方ですが、ある時、ラジオから、「自分の人生、自ら不幸にしてはいけないと思う。幸せになる努力はするべきだ」というようなことを仰っていて、成程、素晴らしい言葉だとご主人様は思ったそうです、それから、ジェーン・スー氏のファンになったそうです。今の時代や女性としての主張も伝えている方ですね。

茨木のり子 詩集 谷川俊太郎 選

 これは、とあるラジオでゲストの方が、「自分の感受性くらい」という詩を取り上げており、好きな言葉として伝えておりました。それがとても素敵で興味を持った方です。ご主人様は知らなかったのですが、有名の詩人です。

 著者は一番きれいな頃に戦争があり、二十歳で終戦を迎えたそうです。

「自分の感受性くらい」の後半は…

初心消えかかるのを暮らしのせいにするな…

駄目なことの一切を時代のせいにするな…

自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ。

とあります。

 戦争があって、青春を国に捧げた苦しい時代から生まれた強い言葉です。ご主人様はこの詩集を読み大変、感動したと言っておりました。他にも、いろいろ買ってしまいました。

 変な家 雨穴 著

 間取りがどうもおかしい変な家がありました。其の実態は…いや、ちょっと怖かったです。それは読んでからのお楽しみで。

 暗黒グリム童話

 いろんな作家が書いたオムニバス集です。やはり、これも怖いです。童話というのに、残酷で怖いのは何故なのかしら?挿絵も素敵で、絵本のように読みました。

 珠玉の短編集 山田詠美 著

気軽に読めた短編です。ご主人様は山田詠美さんの小説は結構、好きなようです。

 マディソン郡の橋 

 言わずと知れた少し前のベストセラー小説です。随分前に読んだことがあるのですが、もう一度読み直してみました。

 4日間だけの愛、でもそれは守るべき永遠の愛でした。そんなことがあるわけないでしょと言いたいところ、そうでもないような気もいたします。今、目を閉じて、思いを寄せる人がふっと浮かんできたのなら、きっと、そういうことはあるのでしょう。

 偶然、BSで映画が放映しており、メリル・ストリープクリント・イーストウッドに徐々に惹かれていくところは素敵で、女性の感性が上手に描かれていて流石の演技力だと思いました。

 毎年、夏になると、必ず買うのが、ナツイチの文庫本です。おまけが目当てというのもあるのですが、それが夏のルーティンになっています。今年のおまけは…栞プラス、スマホが磨けるという代物でした。

 ということで、今日はこの辺で。