リハーサルと大きなドーナツ

ご主人様はjazzを学ぶ一環として、定期的に『自主ライブ』を行っている。
かれこれ10年くらい経つでしょうか?そのライブが今週の土曜日にあり、簡単なリハーサルをすることになった。赤羽にある某ライブハウスなのだが、ここではご主人様はいつもライブのタイトルを決めているのだ。今回は梅雨時にちなみ、「あなたと雨とミュージカル」という演目で要は雨の歌の特集であるが、それだけではちょっと寂しいのでミュージカルの曲をいれたものである。
今まで、「ラテン オン ステージ」という全てがラテンだったり、「昭和歌謡」という懐かしの歌謡曲を取り入れたものもある。夏には夏の、冬には冬の曲。単純ではあるが、いろいろ考えている時は楽しいのだ。
さて、リハーサルはベーシスト歌川久雄氏のお宅で行われた。何と、歌川氏はご自宅に『音楽スタジオ』があり、時々、仲間を集めて『セッションパーティ』を行ったりしている。音楽の好きな方にはため息が出る位、憧れの環境である。ほっそりとしているのだが、実は大変逞しい方で素敵な『縁の下の力持ち』なのである。いきなり『孫が出来たよ〜』なんておっしゃて、嬉しそうである。ダンディな方はおじいちゃんになってもダンディなのだ。
ピアノは外谷東氏。この方は目茶目茶の人気者。ミュージシャンという厳しい世界で人気があるのは、実力、技術、人としての思いやり、人望があるからだと思う。
外谷氏のピアノは本当に素敵。特にバラードはあまりの美しさに溶けてしまいそう。ご主人様はこんな時、いきなり「カトリーヌ・ドヌーブ」や「エリザベス・テーラー」。とてつもない美女になってしまう。そんな気分にしてくれるピアニストなのである。
ドラムは中川喜博氏。彼も休む暇がないほどの人気者。ダンサーとしても有名なのだ。以前、ラテンの時にご一緒し、そのドラムテクニックに魅了されました。ラテンはリズムは勝負である。以前、ご主人様が『サルサ』でお願いします。と言ったら「これはチャチャですね」というご返事。『あ!そうなんだ』とご主人様。マンボにビギンにボサにルンバ。キューバ何とか・・・とにかくリズムが沢山あるのだが、中川氏は、それらを熟知している。立派!(ここまで分かる人は珍しい!)しかも爽やかな好青年なのだ。
そしてギターは牧野英夫氏。ご主人様は牧野氏のギターが好きである。いろいろなジャンルにおいてであるが、ギターならではの曲も沢山ある。
ご主人様はギターのちょっと寂しげな、洗練された大人を感じさせる音色が好き。そして牧野氏は優しい方で、ご主人様の気持ちをよく分かってくれる方なのだ。
このような素晴らしいメンバーとリハは始まる。簡単に考えていたご主人様であったが、楽譜のチェックから始まり、歌の構成、エンディングまで、皆さん、手を抜かず対応してくれた。(これがプロの仕事人なのね。)とご主人様。
結果、演奏は全く問題がなく素晴らしかった。問題はご主人様なのだ。
「どうしよう?何も出来ていないじゃないの!困った・・・」と急に焦る。
ご主人様はいつもそうなのである。随分前から準備をするものの、いつもギリギリで焦りまくるのである。この性格、直した方がいいよ!全く!渇!と私。
それでも自宅に帰り、ご主人様はライブで何を着ようかな?と思い、タンスの前で考えている。
ふと、ご主人様のお腹に眼をやると・・・吃驚!お腹に大きなドーナツがポコッと付いているではないか!
「何を着ようか?」ではなく、「何が着れるか?」なのである。
思えば、ご主人様は律儀な方である。1年で500gずつ、誰にも悟られず、心配をかけることなく、お太りになられたのです。だが、あれから10年。厳しい現実は急にやってくるのだ。